岡崎京子「私は貴兄のオモチャなの」

偏愛と独断の本・マンガ・雑誌論
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マンガ家・岡崎京子は1996年に交通事故にい、

頭蓋骨骨折と内臓破裂、意識不明の重体となった。

長期療養とリハビリを経て、2018年には海外旅行へ

行けるまでに回復しているという。

 

テレビのニュース速報、新聞各社・インターネットで報道された

このニュースを、あたしは知らなかった。

あたしが岡崎京子のマンガと出逢ったのは、

それからずっと後のことだ。

 

いしかわじゅん先生が当時の日経朝刊「まんがワールド」で

「彼女は、京子ちゃんは、ぼくにとって日本一だった。

(中略)ぼくは、毎日祈っている。

彼女の一日も早い回復と、現場への復帰を」と書いたように、

また岡崎ワールドに浸れることを待ち焦がれるファンは多いと思う。

 

阿崎京子が再び戻ってくることを願う多くの想いが

もっともっと膨らんで天にも届く風雲になればいい。

そんな気持ちで書いてみたいと思う、

「I wanna be your dog 私は貴兄あなたのオモチャなの」

について。

 

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私は貴兄あなたのオモチャなの

 

「I wanna be your dog ~私は貴兄あなたのオモチャなの」は、

岡崎京子の異色の短編集だ。

短編集タイトルにもなっている

「I wanna be your dog 私は貴兄あなたのオモチャなの」は、

賛否両論の激しい反響を巻き起こした衝撃作。

 


私は貴兄のオモチャなの (FEEL COMICS)

※現在、kindle版のみ

この作品を含め全4つの短編は、

短編とは思えないほどの読後感を

脳みそと胃にガツンと与えてくる。

生半可に理解したり、消化できないインパクトを持っているのだ。

その反面、短編ならではのシャープな切れ味と

重たい出来事をへらへらと笑い飛ばすような

鳥瞰ちょうかん」を持っている。

 

そう、岡崎京子の作品に共通して感じるのは、

俯瞰ふかん」では収まりきらない、もっと高いところからの視点だ。

空高く舞い飛ぶ鳥が、あたしたち人間たちの所業を

スイスイ眺めているような。

批判もしなければ、肯定もしない鳥の目線。

おごった説教臭さもなければ、言い訳じみた結論もない。

 

だからあたしたちは、自分の中にも

岡崎京子の描く人間たちの不完全さといびつさがあることを

素直に認める気持ちになれるんじゃないかと思う。

 

岡崎京子の作品は、「女子の気持ちがわからない」って

言ってる男子にも読んでほしいと思う。

女子の中身にギョッとしたり、ますます苦手になるかも。

だけど、それはそれでいいじゃない?

 

ネタバレ注意!4つの短編

 

この短編集は4つの短編からなっている。

1)「でっかい恋のメロディ」

2) 「虹の彼方に」

3) 「私は貴兄あなたのオモチャなの」

4) 「3つ数えろ」

 

「でっかい恋のメロディ」

 

学芸会で「うさぎ」の役をやった妹が、

耳のついたかぶり物を気に入って、以来ずっとかぶっている。

それをクラス全員が真似したため、そのクラスはさながら

動物園のようになっている。楽しそうだ。

 

その兄は、まだ中学生なのにつきあっている彼女から

「デキちゃった」宣言をされて悩む。

だけど、それは「真実の愛」を試す彼女の嘘。

 

兄は悩みながらも、本屋のお姉さんに興味津々。

彼女は煮え切らない彼氏にバイバイして、

センパイの部屋でパンツを脱ぐ。

 

兄はうさぎの妹に言われる。

「お兄―ちゃんが愛を大切にしなかったからだよ。

愛をてきとうにあつかうから仕返しされているのよ」

 

どうぶつうそつかないあるよ。

たらったたったったった♬ うさぎのダンス!

 

なんだか、わかんないよね?

うん。ネタバレしてるのにネタバレしない展開は、

岡崎京子ならではの世界観。

ぜひこの作品を読んでみて。(*´ω`*)

 

「虹の彼方に」

 

DVの彼氏、なのに別れられない。

凡庸で優しい彼、それじゃあ満足できない。

オンナって不思議な生き物。

 

そんな友達の話を聞いてあげる優しい女子は、

セフレとエッチ中。

セフレは、すぐに手首を切る奥さんに悩まされてる。

 

DVの彼氏は優しくなったと思ったら、

お金持って出て行った。

捨てられた女子は、

「でも泣くのってたのしい」って言う。

この女子の気持ちをわかるオトコは、いろいろ相当だと思う。

 

なんだか、その辺に転がっている切ない話。

大丈夫、みんな多かれ少なかれそうだから。

恋も人生も、結局マニュアルなんてないんだよね。

 

って思う。 

 

 

「私は貴兄あなたのオモチャなの」

 

ずっと片思いの彼。

「やめとけよ、こんな男。オレけっこーやなヤツよ」

そう言われて、「はい、そうですか」って言えるほど

単純じゃないから恋は面白い。

 

その女子は言うのだ。

「愛とか好きとかいらないっす」

「オモチャにしていいよ」

「犬になってあげるっす」

で、ひと夏「犬のポチ」として過ごす。

 

忠犬によるすべて受け入れる愛に

彼の方が耐えられなくなって、

友達に酒飲んでグチってつぶれて、

つぶれてる間に友達3人が本当に犬がいるか確かめに来て、

その女子はヤラれちゃう。

 

身も蓋もないって言えばそうだけど。

でも、その女子は彼とお別れボート・デートをする。

最期に女子が庭にホースで水をくシーンが

印象的だ。

それは解放の象徴でもあり、男子の射○を彷彿ほうふつさせる。

 

女子は、ひと夏ですごく変わる生き物なんだと思う。

 

「3つ数えろ」

 

EDオトコは、人を傷つけないと

コーフンしない。

そんなオトコと幸せな結婚生活を送る女子の話。

暴力と殺人。

庭には死体が埋められ、綺麗な花の養分になる。

 

相手を理解し、受け入れ、共に生きる究極の選択。

あっけらかんと行われる自分本位の所業は、

裏を返せば人間社会ではよくあること。

 

言葉による殺人、ネットによる暴力。

あなただって、あたしだって、自分が一番じゃん?

岡崎京子がそう言いたかったかどうかは

わからないけれど、彼女の「鳥瞰ちょうかん」の目は

人間の本質をとらえてポンと地上に落とす。

 

 

こんなに特別な才能にあふれた人が、

ペンを持つ権利を奪われるなんて。

のほほんと生きてちゃ申し訳ない。

なけなしの力で、あたしも書くしかないんだよなぁ。。。。( ˘ω˘ )

 

次の作品は「エブリスタ」で行われている

「三行から参加できる超・妄想コンテスト」

テーマ「光」への投稿になる予定です。

現在プロット完成、あとはコツコツ書くだけ。

 

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