第8章 秋色吐息-4

bar激しく抱いて傷つけて

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「おお、久しぶり。よく来たな」

カウンターから顔を上げたアレンが、ドアを開けて恐る恐る中を覗くふたりに手を上げた。

「ホントにここでバイトしてたんだ、えろタイガー」

きょろきょろと暗い店内を見回す落ち着きのない星奈に、アレンが言う。

「お前、バイト先でえろタイガーとか言うなよ。ここは俺のファンもときどき来るんだから」

「なによ、カッコつけちゃって。えろタイガーは、えろタイガーじゃない」

「ファンたちの襲来はだいぶ落ち着いたのか?」

そう言って店内を見回す柊に、アレンは可笑しそうに頷いた。

「まぁ、日本人が熱しやすく冷めやすいというのは本当だな。2か月過ぎた頃から、通常営業に戻ったよ」

「まあ、所詮アンタの人気なんてそんなものってことよ」

 

「相変わらず口の減らないヤツだな、で、何飲む?」

アレンが差し出したドリンクメニューを受け取った柊は、星奈にそれを広げて見せた。

「星奈は、あまり強くないよね。カクテルは止めときな」

「うん、オレンジジュースでいい」

「おいおい、仮にもバーなんだから。アルコール度数高くないやつつくってやる、サザンオレンジでどうだ?」

「なに、それ?」

「リキュールをオレンジジュースで割った人畜無害のカクテルだ」

「ふうん、じゃ、それでいいや」

「柊は、ジントニックだな」

「なんで?」

「いつも、それ、飲んでる」

そうアレンに目配せされて、灯里のことだと気がついた。

 

「ねえ、何食べる?」

そんなふたりを気にも留めず、星奈はフードメニューに夢中だ。

「お薦めはなに?」

「星奈にお薦めは、肉だろ。骨つきのラム肉はどうだ?」

「おいしそう…」

いまにも涎が出そうな顔で星奈が呟く。

「じゃ、それとサラダとか、パスタとか…」

 

「米がいい」

正直にそう言う星奈に、アレンが面白そうに笑う。

「じゃあ、パエリアつくってやる」

「わー、嬉しい!」

「柊は?」

「食べ物は、星奈にお任せだよ」

「あ、あと、これこれ。生ハム」

「野菜も食おうよ」

思わず柊が言う。

「え~、じゃあ、生ハム入りシーザーサラダ」

星奈らしいな、と柊はアレンと眼を合わせた。

 

「で?出席足りてんの?試験は受けるんでしょうね」

骨付きラムのハーブグリルに豪快にかぶりつきながら、星奈がアレンに詰問口調で言う。

「ま、来年もあるし」

「げ、今年も卒業しないつもり?」

「卒業すべきか、せざるべきか。ハムレットな俺は、まだ将来を決めかねてるんだよ」

「アンタのどこがハムレットよ。単に社会に出るのが面倒くさいだけのくせに」

「お、よくわかったな。さすが、長いつきあいだ」

はぁ、と頭を抱える星奈におかわりのドリンクをつくってやりながら、アレンが言った。

 

「柊、あっちのテーブル」

「?」

「Miss幼なじみとよく来るダンサーだ」

そうアレンに目顔で指された方を見ると、男女の若いカップルが眼に入った。女性の方が泣いているみたいで、少し気になる。

「なんか、揉めてない?」

ああ、とアレンが頷く。

 

「男の方が、ニューヨークにダンス修行に行くらしいんだ、無期限で」

「なんで、アレンがそんなこと知ってるの?」

星奈が熱々のパエリアを、ふうふう言いながら口に運んでいる。

「あの女のダンサーの方、カオルって言うんだけど、独りでもよく来るからさ」

「へぇ。独りでバーって、凄いね」

「星奈は、独りで焼肉屋入れるか?」

「ん?なんで?もちろん!」

「それと同じだよ」

「同じじゃないよ、だって独り焼肉は普通でしょ」

アレンは心底面白そうに笑った。

「独りバーだって、イマドキは普通なんだよ」

 

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「どうしても行くの?ニューヨーク」

「うん、行く」

「どうしても一緒に行っちゃダメ?ニューヨーク」

「うん、ダメだ」

こんなに好きなのに、という喉まで出かかった言葉を飲み込んでカオルは涙を拭った。

「せめて、どのくらいの予定か教えて」

自分のためになりふり構わず泣いてくれる健気な存在の頭を撫でながら、シンジは言った。

「わからないんだ、いまは。ごめんな、でも正直、そうなんだ」

「待ってていい?」

「カオル…」

「灯里とふたりで、待ってていい?」

シンジに心理的な負担をかけないように、あえて灯里とふたりでと言ったカオルがいじらしくてしょうがない。だから、シンジは精一杯の言葉を口にした。

「ああ。待っててくれ、灯里とふたりで。凄いダンサーになって帰ってくるから」

「絶対だよ」

「ああ」

今日もレッスンを休んだ、最近、眼に見えて元気がなくなった灯里を心配しながら、シンジはまたカオルの頭を撫でた。

 

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「それで、どうなんだ、最近」

たらふく食べて、気持ちよさそうにバーカウンターに突っ伏して寝ている星奈を見ながらアレンが柊に訊く。

「うん…」

冴えない返事をして、柊がため息をつく。

「ため息つくと幸せが逃げるって、教わらなかったか?俺は婆ちゃんに教わったぞ、中学生のときに」

アレンがまるで生粋の日本人みたいなことを言うので、柊は思わずふっと笑った。

 

「もう、逃げたかもな」

「なんだよ、上手くいってないのか?」

そう訊ねるアレンに答える言葉が見つからなくて、柊は黙ってジントニックを飲む。

「なぁ、柊。よくわかんないけど、お前、自分の気持ちちゃんと伝えたのか?」

「アレンこそ、どうなんだよ」

柊はそう言って、横で眠りこける星奈に視線を投げる。

「あれ、バレてた?」

「当たり前だよ、わかりやすすぎる」

「そうだよなぁ。なのに、なんでコイツ、わかんないんだ?」

「それが、星奈だろ」

アレンはまあな、とニヤリとした。

「でもさ、アレンは星奈の気持ち、知ってるか」

「コイツの気持ち?なんだよ、教えろよ」

気づいてないのはお互いさまじゃないか、と柊はなんだかおかしくなる。

 

「お前こそ、ちゃんと伝えて、ちゃんと訊けよ」

「おいおい、こっぴどく振られたらどうしてくれるんだ。相手は星奈だぞ、そして俺はこう見えて繊細なハートの持ち主だ」

「どこが繊細だよ」

そうは言ったが、アレンの繊細さはつき合いが長くなればなるほどわかるのだな、と柊は思う。

「まあ、大丈夫だろ」

「ホントか?」

「と、思う」

「保障してくれよ」

「そこまで言われると、確約できないけど…。上手く当たれば、玉砕せずに済むと思うよ」

 

柊の言葉を訊いて、う~ん、とアレンは考え込んだ。

「よし、決めた!」

「?」

「柊、お前このまま星奈を置いて帰れ」

「えっ」

「今日俺は送り狼じゃなくて、お持ち帰りタイガーになる」

「まじ?」

「だから、共犯者になってくれ」

「共犯者?」

ニヤリと笑うと、アレンは寝ている星奈のカバンから携帯を取り出した。そして何やら操作して、出た画面を柊に見せた。

 

『ママ、今日は研究室に泊まる。柊や院の仲間と実験に集中するから、メールはいいけど電話は迷惑』

 

それは星奈がいつも内容同じだからとあらかじめ保存してあるメールの文章のうちの一つで、それを見せられた柊とアレンは逆に心配したほどだ。

「いつも同じ内容のメールで、母親は納得するのか?」

「うん」

「お前の母親は、娘が心配じゃないのか?」

「? 心配してるよ、徹夜ばっかりだとお肌がどうとか言って」

「い、いや。そうじゃなく…」

「ん?なにが言いたいのよ、えろタイガー?」

 

見事にかみ合わないそのときの星奈とアレンのやり取りを思い出している柊の眼の前で、アレンはゆっくりと送信を押した。そして、しれっと言ったのだ。

「俺さ、2杯目からアルコールの量、増やしたんだ。つまり確信犯」

「え、アレン…」

「だから星奈がつぶれた件も、お前、共犯な」

 

 

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