第8章 秋色吐息-7

Car 激しく抱いて傷つけて
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なぜこの3人で、この高級住宅街のひと際バカでかいお屋敷の前にいるのか、その経緯を柊は軽く諦めながら思い出していた。

発端は、星奈だ。

 

「ねえ、ねえ、柊。海へ行こう」

「海?」

「うん、デートの定番コースだよっ」

そう言うと、星奈は柄にもなく「きゃ」と顔を赤らめた。

「海って、デートって、誰が、誰と?」

不審に思いながら、柊は訊く。

「うふ。私とアレンと、柊と仁科さん」

う、うふって星奈、びっくりさせるな、似合わない。気持ち悪いくらいだ、友達だから言わないけど。

 

そこに唖然としすぎたせいか、柊は大事なことをらしくなく聞き逃した。

「アレンと上手くいってるのか?」

すると星奈が今度はモジモジしはじめる。

だから星奈、キミは恋する乙女かって、あ、そうだった。でも似合わないなぁ、恋する乙女な星奈って…という柊の気持ちなど知らない星奈はこう続けた。

「アレンは、いままた海外。忙しくってあんまり会えてないの。でもね、来週帰ってくるから」

そう言って星奈がにっこり笑う。その笑顔が本当に嬉しそうだったから、柊は言った。

「それなら、ふたりでどっか行けよ」

 

「え~、だって私、お弁当つくれないもの」

「お弁当?」

「うん、お弁当持って海へドライブするの、夢だったんだぁ」

そんな夢、この星奈が抱いていたなんて、ますますびっくりだ。いったい、いつからの夢だ、アレンとつき合いだしてからか?いや、待て、じゃあ、弁当をつくるのは…

「あのさ、星奈。弁当は誰がつくるの?」

星奈は一瞬きょとんとした顔になった。

 

「ん?仁科さん」

「なんで、彼女が?」

「お料理習ってるんだって」

ああ、そう…。いやいや、だからって人が良すぎるだろ。

「彼女がキミとアレンのデートのために、わざわざ弁当つくって、参加までしてくれるって言ってるのか?」

「うんっ」

よくわからない、まったく理解できない。

 

「だから、柊も一緒に来て。ね、お願い」

星奈に上目遣いで可愛くお願いされる日が来るとは、思わなかった。びっくりの連続で、柊の思考は知らず知らずのうちに軽く麻痺する。

「じゃあ、僕と仁科さんはおまけ?」

「違うよぉ。これはダブルデートだからっ」

嘘つけ、と思ったけれど、幸せそうな星奈を見ていたら、柊はなぜだか断れなくなってしまった。

「わかったよ、しょうがないなぁ」

「やった!あ、クルマもね、彼女が用意してくれるって」

 

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という訳で、仁科家の前で待ち合わせになった。

休日の朝からハイテンションの星奈と、なぜだか柊をニヤニヤしながら見ているアレンと、3人で由紀子が出てくるのを待った。

彼女が玄関から出てくるのとほぼ当時に、ガレージのシャッターが開いた。

「おはようございます」

と言った由紀子の後ろに、真っ赤なアウディが見えた。

「おお、アウディ!」

そうアレンが言って、行きは彼が、帰りは柊が運転することがその場で決まった。

 

大学生のとき免許を取ったお祝いに父親が買ってくれたというアウディは、あまり乗ることがないままに、これが2台目だという。

「私、ペーパードライバーに近いので。でも今日、このクルマが役に立ってよかったです」

「凄ーい、仁科さんてお嬢さんなんだね」

そう言う星奈も、どちらかというと良家のお嬢さんだ。惜しいことに、そうは見えないが。

 

運転席にはアレン、助手席には柊、そして後部座席には星奈と由紀子が座り、女子2人の意外にも弾む会話に男2人は耳を傾けていた。

「晴れてよかったねぇ、デート日和っ!」

「でも星奈さんの彼って、こんなカッコいい方だったなんて…」

「カッコいい?やだぁ、そう?」

これまで「えろタイガー」と言っていた星奈の恥ずかしそうな、嬉しそうな声が聞えてきて柊は苦笑しながらアレンを見る。当のアレンは首をすくめただけで、ドライブを楽しんでいる風情だ。

 

「ね、お弁当の中身、なに?」

やはり星奈らしい質問に、アレンが吹き出した。

「こら、星奈。着いてからのお楽しみだろ」

「えー、そうだけど」

「だけど、なんだか申し訳なかったね。お弁当までつくらせて、人のデートのつきあいまでさせて」

あまりにもあっけらかんとした星奈の代わりに、柊はそう由紀子に声をかけた。

「あ、いえ。そんな…」

「なによぉ、柊。それじゃ、私が無理やり誘ってお弁当つくらせたみたいじゃない」

「だって、そうだろ?」

そう言う柊に、由紀子が小さな声で言った。

 

「違うんです、海を見たいって最初に言ったのは私なんです」

「そう、なの?」

「そしたら、星奈さんが一緒にって…」

「だって大勢の方が楽しいじゃない、外でお弁当食べるの」

「おいおい、そこかよ、ベイビー」

変わらないようでいて、少しずつ恋人らしくなっているアレンが、星奈にそう言ってまた楽しそうに笑った。

 

やがて両側に広がる海に吸い込まれるような波乗りロードを通って、展望台のある海辺の公園に着いた。

 

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