あらすじ
その恋に、どれだけ一途で狂おしくなれますか?
老舗料亭の娘・灯里に淡い恋心を抱く柊。
彼女には、祖母が決めた許婚がいると知ってはいても。
しかしその許婚と結婚したのは、灯里の異母姉妹・繭里だった。
故郷から姿を消した灯里と、柊は東京で再会する。
初恋はやがて、甘やかな地獄をつれてくる。
※作中に「合意のない性行為」に関する記述が出てきますが、
法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
プロローグ
野々村柊の腕をするりと抜けた北川灯里は、ベッドサイドに脱ぎ捨ててあった彼の白いシャツを無造作に素肌に纏った。
プラチナ色のやわらかな朝の光線が、窓辺に佇む灯里のほっそりとしたシルエットをシャツ越しに美しく浮かび上がらせている。
華奢な肩から滑らかな背中へと流れる栗色の髪は緩くウェーブがかかったセミロングで、細くくびれたウエストから小振りだけれど官能的な丸みを帯びたヒップまでのラインは滑らかな陶器の人形を思わせる。シャツから伸びた足はまっすぐで、昔から灯里は手足が長く駆けっこ速かったことを柊は思い出した。
きれいだ、と柊は思った。
そして昨晩からこの手で、自らの肌で、全身で感じた灯里の素晴らしい素肌をあらめて思い出した。真珠色に輝く灯里の裸体はしっとりと吸いつくようで、抱きしめると細いのに魅力的な弾力を持っていた。
何度でも、何度でも、僕はキミを抱く。
キミがそれを望むなら。
たとえキミの心がこの腕からすり抜けても、
その躰はこの刹那、僕だけのものだから。
誰を想ってキミは泣くの?
僕に抱かれるたび、キミの心が傷つくなら
僕はともに血の涙を流そう。
だってそれが僕にできる唯一のことだから。
いっそ心に蓋をしてしまおう。
自分の想いが溢れ出ないように、
キミが僕の本心を決して覗けないように。
だから安心して、
好きでもない男に抱かれるマリオネットになっていて。
そして人形のキミを抱く
可哀想な男を嘲笑うといい。
いや、心の底から憎んでくれ。
できることなら、一生忘れられないくらい激しく。
せめてキミの記憶の中だけにでも、僕を生き続けさせてくれ。
何度でも、何度でも、僕はキミを抱く。
キミが望むように、それ以上に。
決して止めない、止めることなどできないんだ。
僕は忘れないよ、灯里。
あの日キミは泣きながら、僕の魂を鷲掴みにしたんだ。
そのひと言で。
「激しく抱いて傷つけて」
第1章-1 へ

【blog限定SS】 オトコのひとには、彼女に自分の白いシャツを パジャマがわりに着せたいという願望があるらしい。
♂「コレ、着ろよ」 ♀「え、でも」 ♂「いいから、遠慮すんな」 ポイッ ♀「…(あ、汗臭い(-“-))」
気をつけよう、シャツを貸すなら「洗い立て!」
☝洗剤選びひとつにもセンスが出る! |
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